
2025.09.25
ブロック塀の撤去は必要?撤去の場合の費用と補助金について診断士が解説
地震や台風のニュースを耳にするたびに、「うちのブロック塀は大丈夫だろうか」と心配になったことはありませんか? 見た目はしっかりしているように見えても、老朽化が進んだ塀はある日突然倒壊するリスクを抱えています。 実際に過去には倒壊事故で尊い命が失われ、多額の損害賠償を請求された事例もあります。 とはいえ、「補修で済むのか、撤去すべきか」の判断は難しく、いざ撤去となると費用も気になるところです。 実…
投稿日:2025.09.26 最終更新日:2025.09.26
自宅のブロック塀にひび割れや汚れを見つけて、
「すぐに撤去しないと危ないのかな……」
「できれば費用を抑えて補修で済ませたい」
と迷っていませんか?
実は、ブロック塀の劣化が見られても、必ずしも撤去が唯一の解決策ではありません。
まず大切なのは、内部の鉄筋や基礎まで正しく診断し、本当に危険な状態かどうかを見極めること。
状況によっては、適切な補修だけで、安全でキレイな塀に生まれ変わらせることも十分にできます。
この記事では、愛知県で数多くのブロック塀を診断してきた専門家が、「補修」という方法に焦点を当て、どんな場合に補修ができるのか、具体的な方法や費用について、事例を交えながら詳しく解説します。
読み終える頃には、ご自宅のブロック塀補修の可能性がわかるはずです。
【プロフィール】
外構業界で約19年のキャリアを持つ一級エクステリアプランナー。年間120件以上のプランニングを手がけ、タカショーデザインコンテスト銅賞をはじめ受賞歴も多数。モダンデザインの外構、ローメンテナンスの庭、ウッドデッキ・カーポート設計、ライティングを活かした空間演出を得意とし、機能性と意匠性を両立させ、お客様の期待を超える価値ある空間づくりを信条とする。
【保有資格】
1級エクステリアプランナー、ブロック塀診断士、職長・安全衛生責任者
【趣味】
ゴルフ、フットサル
ブロック塀のひび割れは、つい「まだ大丈夫」と軽く考えられがちです。
しかし、将来的に補修では済ない大規模な工事につながったり、トラブルになったりすることもあります。
ここでは、「補修」という視点から、劣化を放置した場合に起こりうる4つのリスクを見ていきましょう。
表面に見えるどんな小さな劣化も、放っておけば、内部の鉄筋腐食につながります。
鉄筋が強度を失えば、ブロックは単に積み上がっているだけの状態に近くなり、将来的に倒壊するリスクへと発展してしまいます。
表面の塗装の剥がれや小さな欠けなど、軽微な傷みも、放置することで劣化のスピードを早めてしまいます。
今なら数万円の塗装で済んだはずが、数年後には高額な撤去・新設工事が必要になるなど、結局は何倍もの大きな出費につながってしまいます。
危険な状態のブロック塀は、家全体の印象を古く見せてしまうだけでなく、住宅そのものの資産価値を下げる一因にもなります。
不動産取引において、危険なブロック塀は「瑕疵(かし)」、つまり欠陥として扱われることがあるからです。
将来、家を売却する際に、買主から撤去や修繕の費用を求められ、査定額が下がってしまうことも考えられます。
「お隣のブロック塀、なんだか傾いていて怖い……」。
ご自身が大丈夫だと思っていても、周りのご近所さんは日々、不安を感じているかもしれません。
その不安が、「うちの家に倒れてきたらどうしてくれるんだ」といった直接的なクレームにつながり、ご近所との関係が悪化してしまうケースもあります。
危険な塀を放置することが、トラブルの原因になるのです。
では、撤去か補修かはどう判断すればいいのでしょうか?
最終的な判断は専門家による正確な診断が必要になりますが、その前に、ご自身で危険度の大まかな目安を知っておくことを知っておきましょう。
以下の症状が見られる場合、補修での対応は難しく、早めに撤去を検討する必要があるかもしれません。
放置せず、すぐに専門家へ相談してください。
これらの撤去を考えるべき危険なサインについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
地震や台風のニュースを耳にするたびに、「うちのブロック塀は大丈夫だろうか」と心配になったことはありませんか? 見た目はしっかりしているように見えても、老朽化が進んだ塀はある日突然倒壊するリスクを抱えています。 実際に過去には倒壊事故で尊い命が失われ、多額の損害賠償を請求された事例もあります。
ご自宅の塀にこれらのサインが見られない場合は、補修で対応できる可能性があります。
続いて、補修を検討できる劣化のサインを見ていきましょう。
以下の症状は、放置すれば危険度が高まりますが、専門家による適切な処置で補修できる可能性があります。
表面のモルタルがポロポロと剥がれ落ちている状態は、すぐに倒壊に繋がるわけではありませんが、ブロックの素地がむき出しになることで雨水が染み込みやすくなり、内部の鉄筋がサビて、塀全体の強度が落ちる原因になります。
名刺の厚み(約0.25mm)よりも太いひび割れは、構造の強度に影響を与え始めているサインかもしれません。
このサイズの隙間は雨水が内部の鉄筋まで届く「通り道」になり、鉄筋のサビを直接引き起こすからです。
サビた鉄筋は膨張して内側からブロックを壊すため、放置すれば強度不足による倒壊につながることもあります。
ブロックの表面に白い粉のようなものが見られる場合、それは「白華(はっか)現象」と呼ばれます。
白華そのものが、すぐに塀の強度を大きく下げるわけではありません。
しかし、これはコンクリート内部の成分が水分によって溶け出し、表面で乾燥したもので、塀の内部で水分が動いているサインでもあります。
特に広範囲にわたって見られる場合は、長期間放置することで、内部の鉄筋が錆びやすい環境につながる可能性も考えられます。
以下の軽い症状であれば、ご自身でメンテナンスすることもできます。
幅0.3mm未満の、髪の毛のように細いひび割れは、コンクリートの乾燥・収縮の過程で表面に生じることがあります。
内部の鉄筋まで達している可能性は低く、構造的な強度への影響はほとんどありません。
ただし、この段階で市販の補修材で埋めておけば、水の侵入を防ぎ、塀の寿命を延ばせます。
日当たりの悪い場所などでは、表面にカビやコケが発生することがあります。
これらがブロックの強度を直接下げるわけではありませんが、見た目が良くないだけでなく、表面を常に湿った状態に保つため、コンクリートの中性化を早め、長期的な劣化の原因になります。
高圧洗浄機などで定期的に清掃するだけでも、塀が長持ちします。
ご自宅の塀は、どのレベルに当てはまりそうでしたか?
ここまでご自身でチェックできる目安をご紹介しましたが、これらはあくまで表面的な判断材料にすぎません。
なぜなら、ブロック塀の本当の危険性は、外からでは見えない「ブロックの内部」に隠されているからです。
ここからは、なぜプロの診断が大切なのか、その理由を具体的にお伝えします。
ブロック塀の強度を保つ上で、とても重要な役割を担っているのが、内部に縦横に通っている鉄筋です。
この鉄筋が、そもそも規定通りに入っているのか、そして内部で錆びてしまっていないか。
これは、外から見ただけでは判断できません。
私たちプロは、「鉄筋探査機」という専用の機械を使います。
これにより、塀を壊すことなく、内部の鉄筋がどこに、どんな太さで、どのくらいの間隔で入っているかを確認できます。
以前、私たちが診断したケースでは、探査機を当てて初めて、縦の鉄筋が途中までしか入っていなかったり、横の鉄筋が全く入っていなかったりという、危険な状態が判明したこともありました。
そしてもう一つ、ブロック塀を支えているのは、地面の下にある**「基礎」**です。
この基礎がしっかりしていなければ、いくら上のブロックをきれいにしても意味がありません。
基礎にひび割れがないか、状況に合った深さや幅があるかといった点も、塀の寿命と安全性を左右する大事なチェックポイントです。
これもまた、専門的な知識と経験がなければ、正しく評価することは難しいと言えます。
私たち堀央創建には、JPEX(日本エクステリア建設業協会)が認定する専門資格 「ブロック塀診断士」が在籍しています。
ブロック塀診断士は、いわばブロック塀の専門ドクターです。
ブロック塀診断士が、お客様へのヒアリングや目視調査、専用機器による内部調査を通して、塀の本当の健康状態を正確に診断。
その結果をもとに、ご自宅の塀にもっともあった対策をご提案します。
診断したからといって、無理に工事をおすすめすることは一切ありません。
専門家の診断の結果、ご自宅の塀が「補修可能」と判断された場合、どのような方法があるのでしょうか。
ここでは、症状やご予算、デザインのお好みに合わせた、さまざまな補修方法をご紹介します。
症状が軽微なひび割れや、表面の小さな欠けだけであれば、その部分だけをピンポイントで直す方法があります。
ひび割れ部分をU字にカットして専用の補修材を埋めたり、欠けた部分をモルタルで成形したりします。
費用をもっとも抑えられる方法ですが、補修した箇所が周りの部分と少し違った見た目になることもあります。
塀全体を専用の塗料で塗装する方法です。
単に見た目をきれいにするだけでなく、塗膜がブロックの表面をコーティングすることで、雨水の侵入を防ぎ、塀の劣化を遅らせる効果があります。
色も豊富に選べるので、お家の外観に合わせてイメージを一新することもできます。
既存のブロック塀を生かしながら、その上からタイルを張ったり、おしゃれな塗り壁材(ジョリパットなど)で仕上げたりする方法です。
安全性を回復するだけでなく、まるで新築のような高級感のある外観にすることもできます。
私たち堀央創建でも、長い目で見て美しい状態を保てるタイル仕上げや石貼り仕上げは、特におすすめしているリフォーム方法の一つです。
既存のブロック塀の上半分を解体・撤去し、その上に軽量なアルミフェンスを設置する方法です。
塀の高さを低くすることで重心が下がり、倒壊のリスクを大きく減らすことができます。
すべてを解体するよりも費用や工期を抑えられるメリットがあります。
最後に、おそらく一番気になるであろう、ブロック塀の補修にかかる費用についてです。
ブロック塀の補修費用は、塀の長さや高さ、劣化の進行具合、そしてどの補修方法を選ぶかによって大きく変わります。
そのため、「あなたの家の場合はいくら」と一概にお伝えすることはできません。
だからこそ、まずは専門家による診断と、それに伴う詳細な見積もりが必要です。
あくまで一般的な目安として、いくつかの補修方法ごとのおおよその費用をまとめました。
工事方法 | 費用相場(/㎡) |
---|---|
部分的なひび割れ補修 | 約13,000円~20,000円 |
全体の塗装 | 約3,000円~ |
デザインリフォーム(塗り壁) | 10,000円~20,000円(素材・仕上げのグレードによっては4,000〜7,000円/㎡) |
デザインリフォーム(タイル貼り) | 20,000円~40,000円 |
カバー工法(上部カット+フェンス設置) | 15,000円~35,000円 |
※上記は材料費・工事費を含んだ概算です。 ※フェンスは「m単価」。記事内では便宜上㎡換算
足場の設置が必要な場合など、別途費用がかかることがあります。
お住まいの自治体によっては、危険なブロック塀の安全対策工事(主に撤去や撤去後の新設)に対して、補助金が交付される場合があります。
たとえば、私たちが拠点とする小牧市にも「民間建築物ブロック塀等撤去費補助制度」があります。
詳しくは以下の記事で紹介しているので、ご覧ください。
地震や台風のニュースを耳にするたびに、「うちのブロック塀は大丈夫だろうか」と心配になったことはありませんか? 見た目はしっかりしているように見えても、老朽化が進んだ塀はある日突然倒壊するリスクを抱えています。 実際に過去には倒壊事故で尊い命が失われ、多額の損害賠償を請求された事例もあります。
診断の結果、残念ながらブロック塀の劣化が著しく、補修では安全性を確保できないと判断されるケースもあります。
たとえば、内部の鉄筋がほとんど入っていなかったり、基礎に大きな問題が見つかったりした場合です。
その場合は、無理に補修をしても根本的な解決にはなりません。
ご家族やご近所の安全を守るため、塀を一度すべて撤去し、軽量なアルミフェンスなどに作り替えることをおすすめします。
地震や台風のニュースを耳にするたびに、「うちのブロック塀は大丈夫だろうか」と心配になったことはありませんか? 見た目はしっかりしているように見えても、老朽化が進んだ塀はある日突然倒壊するリスクを抱えています。 実際に過去には倒壊事故で尊い命が失われ、多額の損害賠償を請求された事例もあります。
実際にブロック塀の補修で悩んでいたお客様が、私たちの診断と工事でどのように安心と満足を手に入れられたのか。
実例を3つご紹介します。
名古屋市北区のO様邸にて、築40~50年が経過し、道路側に傾きが見られたブロック塀の改修工事を行いました。
「万が一倒れて通行人に何かあったら」というお客様の不安を解消するため、既存のブロック塀を土台となる2段分だけ残し、その上に軽量なアルミ製の目隠しフェンスを設置する「カバー工法」を実施。
重心が低くなることで耐震性が大きく向上し、倒壊のリスクを根本から解消しました。
施工後、お客様からは「もう安心です」とのお言葉をいただきました。
写真はブロック塀撤去後、フェンス設置前の写真です
扶桑町のT様邸では、通学路に面したブロック塀の改修工事を行いました。
こちらの塀は傾きやひび割れがひどく、特に危険な状態でしたが、劣化が激しい箇所は一度ブロックを解体して基礎から積み直す「部分補修」を実施。
その上で、塀全体の上部をカットして軽量なアルミフェンスを設置する「カバー工法」を組み合わせ、地震にも強い安全な塀に生まれ変わらせました。
名古屋市北区のY様邸では、築35年以上が経過した全長約60mのブロック塀を改修しました。
今回は市の助成金制度を活用し、高さ約2mあった塀の上部を解体して、軽量なアルミ製の目隠しフェンスを設置。
残したブロック部分もモルタル処理と再塗装を施したことで、まるで新築のように美しく、安全な塀へと生まれ変わりました。
施工後、お客様からは「ご近所さんからも『新築したみたいだね!』と褒められました」と、大変お喜びいただけました。
ここまで、ブロック塀の補修について、リスクや判断基準、具体的な工事内容までお伝えしてきました。
ご自宅の塀にひび割れを見つけても、「すぐに撤去しないと」と焦る必要はありません。
この記事で見てきたように、塗装やカバー工法といった補修で、十分対応できることもあるので、専門業者に相談してみるといいでしょう。
私たち堀央創建は、創業から50年以上、1万件近い外構工事を手がけてきました。
在籍する「ブロック塀診断士」が、ただ危険かどうかを判断するだけでなく、ご自宅の塀にとって、そしてお客様にとって一番良い方法を一緒に考えます。
診断したからといって、無理に工事をおすすめすることはありませんので、どうぞお気軽にご相談ください。
2025.09.25
地震や台風のニュースを耳にするたびに、「うちのブロック塀は大丈夫だろうか」と心配になったことはありませんか? 見た目はしっかりしているように見えても、老朽化が進んだ塀はある日突然倒壊するリスクを抱えています。 実際に過去には倒壊事故で尊い命が失われ、多額の損害賠償を請求された事例もあります。 とはいえ、「補修で済むのか、撤去すべきか」の判断は難しく、いざ撤去となると費用も気になるところです。 実…
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