地震や台風のニュースを耳にするたびに、「うちのブロック塀は大丈夫だろうか」と心配になったことはありませんか?
見た目はしっかりしているように見えても、老朽化が進んだ塀はある日突然倒壊するリスクを抱えています。
実際に過去には倒壊事故で尊い命が失われ、多額の損害賠償を請求された事例もあります。
とはいえ、「補修で済むのか、撤去すべきか」の判断は難しく、いざ撤去となると費用も気になるところです。
実は、自治体によっては、ブロック塀撤去は、補助金をうまく活用出来ることがあります。
この記事では、撤去の必要性を見極めるチェックポイントから、撤去費用の相場、補助金制度の活用法、そして費用を安く抑えるための方法まで、専門家の視点で分かりやすく解説します。
この記事でわかること
- 古いブロック塀を放置する本当の危険性
- 撤去を考えるべきブロック塀、5つの見分け方
- 撤去やフェンス設置にかかるリアルな費用
- 小牧市などで使える補助金と申請のコツ
- 信頼できる業者選び、たった一つのポイント
この記事を書いた人
岡 秀和
【プロフィール】
外構業界で約19年のキャリアを持つ一級エクステリアプランナー。年間120件以上のプランニングを手がけ、タカショーデザインコンテスト銅賞をはじめ受賞歴も多数。モダンデザインの外構、ローメンテナンスの庭、ウッドデッキ・カーポート設計、ライティングを活かした空間演出を得意とし、機能性と意匠性を両立させ、お客様の期待を超える価値ある空間づくりを信条とする。
【保有資格】
1級エクステリアプランナー、ブロック塀診断士、職長・安全衛生責任者
【趣味】
ゴルフ、フットサル
そのブロック塀、本当に大丈夫?放置で起こりうる、知っておきたい4つのリスク

「まだ大丈夫だろう」とつい点検を後回しにしてしまうお気持ちは、よく分かります。
しかし、ブロック塀の劣化は、見た目には分かりにくい内部から静かに進行します。
その「まだ大丈夫」という判断が、ご自身やご近所を巻き込む事故の原因になるかもしれません。
リスク1:地震や台風による突然の倒壊
日本は地震大国です。そして近年、台風も大型化しています。
老朽化したブロック塀は、強い揺れや風圧によって、ある日突然、倒壊する可能性があります。
記憶に新しい2018年の大阪北部地震では、通学路のブロック塀が倒壊し、登校中だった小学生が亡くなるという痛ましい事故がありました。
これをきっかけに、ブロック塀の危険性が改めて注目され、全国で安全点検が強化されることになったのです。
実際に私たち堀央創建にも、「万が一、倒れて歩行者に何かあったら大変」「自分の家の塀で子どもが怪我でもしたら…」といったご心配の声を受けて、工事をおこなうケースが少なくありません。
リスク2:ご近所や通行人を巻き込む人身・物損事故
もし、ご自宅のブロック塀が倒れたら、その先にいるのは誰でしょうか?
ご家族かもしれませんし、お隣さんや、たまたま通りかかった通行人かもしれません。
倒壊した塀が人に当たれば大きな事故につながりますし、隣家の車や建物を壊してしまう可能性も十分にあります。
そうなれば、多額の損害賠償を請求されることも考えられます。
過去には、倒れた塀が原因で約6,800万円もの賠償を命じられた事例も。
金銭的な問題だけでなく、ご近所との関係が悪化するなど、大きなトラブルに発展するケースもあるのです。
リスク3:「知らなかった」では済まない所有者の法的責任
万が一事故が起きてしまった場合、「危険な状態だと知らなかった」と主張しても、所有者としての責任を免れることは難しいのが現実です。
民法第717条では、土地の工作物(ブロック塀など)に問題があり、それによって他人に損害を与えた場合、所有者がその責任を負わなければならないと定められています。
つまり、ご自宅のブロック塀が原因で事故が起きた場合、その責任はすべて所有者であるあなたにある、ということです。
定期的な点検やメンテナンスをしていなかったと判断されれば、「管理不行き届き」として、その責任はさらに重いものになります。
リスク4:倒壊した塀が地域全体の避難・救助活動を妨げる
大きな災害は、自宅にいるときに起こるとは限りません。
特に住宅地の道路は道幅が狭いことも多く、倒れたブロック塀の瓦礫が道を塞いでしまうと、個人の避難の妨げになるだけでなく、救急車や消防車といった緊急車両の通行を阻害し、地域全体の救助活動に深刻な影響を及ぼすことも考えられます。
【専門家が解説】撤去を考えるべき危険なブロック塀の5つのサイン

では、どのような状態のブロック塀が「危険」なのでしょうか?
ご自身で簡単に確認できる5つのポイントをご紹介します。
一つでも当てはまる項目があれば、一度、専門家による詳しい診断をおすすめします。
1:ひび割れ(クラック)がある
ひび割れは、塀の内部が劣化しているサインかもしれません。
亀裂から雨水が浸入すると、内部の鉄筋が錆びて膨張し、ブロックを内側から破壊してしまいます。
特に、横方向に長く伸びるひび割れは、塀が折れて倒壊する前兆の可能性があり、とても危険です。
2:傾きやぐらつきがある
塀が傾いたり、手で押してみてぐらついたりするのは、倒壊の危険が迫っている分かりやすいサインです。
ブロック塀は、地面の下の「基礎」と内部の「鉄筋」で支えられています。
傾きやぐらつきがあるということは、そのどちらか、あるいは両方が深刻なダメージを受けている証拠。
基礎が沈下していたり、内部の鉄筋が錆びて切れていたりする可能性があります。
3:鉄筋が錆びて、外に出ている
ブロック塀の内部にある鉄筋は、人間でいう「骨」のようなもの。
その鉄筋が錆びて外に露出している状態では、鉄筋はすでに強度を失っており、ブロックはただ積み重な っているだけの状態です。
地震の揺れはもちろん、子どもが寄りかかる、自転車がぶつかるといった日常のちょっとした衝撃でも、崩れ落ちる危険があります。
4:塀の根元(基礎)に、ひび割れや陥没がある
塀を支える「基礎」部分にひび割れがあったり、周りの地面が沈んでいたりする場合、塀全体が足元から崩れるおそれがあります。
特に、大雨で地盤が緩んだり、近所で工事が行われたりすると、基礎ごと一気に倒壊してしまうことも考えられます。
5:塀の高さが高すぎる(2.2mを超えている)
建築基準法では、安全のため、ブロック塀の高さは2.2mまでと定められています。
これを超える塀は、地震の際に想定以上の大きな力がかかるため、倒壊のリスクが非常に高まります。
そもそも基準を守っていない違法な建築物の可能性が高く、大変危険です。
一つでも当てはまるものがあれば、なるべく早く、専門家による正確な診断を受けることを強くおすすめします。
なぜプロの「ブロック塀診断」が必要?見た目だけでは分からない“本当の危険”

ここまでのポイントで問題がないように見えても、まだ安心はできません。
ブロック塀の本当の危険は、目に見えない“内部”に隠れているからです。
危険は、見えない“内部”に隠れている
ブロック塀の強度を支える一番大事な部分は、残念ながら外から見ることはできません。
塀の「骨」である鉄筋が基準通りに入っているか、塀全体を支える「基礎」が十分な深さまで埋まっているか。
そして、ブロックの空洞にモルタルがしっかり詰まっているか。
見た目はきれいに見えても、中身はスカスカで危険な状態、というケースは十分あり得ます。
頼りになる専門家「ブロック塀診断士」
そこで頼りになるのが、「ブロック塀診断士」という専門家です。
ブロック塀の構造や法律に関する専門知識と技術を持った技術者で、いわばブロック塀の“お医者さん”。
専用の機械で内部の鉄筋の状態を調べるなど、客観的な視点で安全性を正確に判断してくれます。
堀央創建なら「ブロック塀診断士」による無料診断が受けられます
私たち堀央創建には、このブロック塀診断士の資格を持つ専門家が在籍しており、皆さまの不安を解消するため、無料の安全診断を行っています。
専門家がご自宅までお伺いし、塀の状態を隅々まで調査。
分かりやすい報告書にまとめてご説明し、一軒一軒の状況に合わせたベストなご提案をさせていただきます。
ブロック塀の撤去、費用はいくらかかる?工事の内訳と単価の相場

ブロック塀の撤去を考えたとき、いちばん気になるのが費用ですよね。
撤去費用は、塀の構造(鉄筋の有無など)、高さ、長さ、厚み、そして現場の状況(重機が入れるかなど)によって大きく変動します。
撤去費用の相場と工事の内訳
一般的に、ブロック塀の撤去費用は1平方メートル(㎡)あたりの単価で計算されます。
この単価は、ブロックを壊す「解体作業費」と、壊したガラを運び処分する「運搬・処分費」などで構成されています。
見積もり価格が変わる4つの要因

実際の金額は現場の状況によって変動します。
特に、以下の4つのポイントは見積もり価格に大きく影響します。
- ブロック塀の高さと厚み
- 鉄筋の有無
- 重機の搬入可否
- 隣地との距離
要因1:ブロック塀の高さと厚み
塀が高く、厚くなるほど、解体するブロックの量が増え、作業時間も長くなるため費用は上がります。
要因2:鉄筋の有無
現在の建築基準法では鉄筋を入れることが必須ですが、古いブロック塀には入っていないケースもあります。
鉄筋が入っている塀は、入っていないものに比べて格段に頑丈です。
そのため、解体には専用のカッターや重機が必要となり、費用は高くなる傾向があります。
要因3:重機が現場に入れるか
撤去作業の効率を大きく左右するのが、重機(ユンボなど)が現場に入れるかどうかです。
重機が使えれば作業はスムーズですが、住宅が密集していたり、道が狭いなどの理由で入れない場合は、職人が手作業で解体するしかありません。
工期が長引いて人件費が増えるため、費用も高額になります。
要因4:隣の家との距離が近い
ブロック塀が隣家の建物や車などと近い場合、作業はより慎重に行う必要があります。
万が一にも傷つけないよう、頑丈な保護シート(養生)を設置するなど、配慮が必要になるため、その分の費用が追加されることがあります。
愛知県のブロック塀撤去で使える補助金制度まとめ

実は、古いブロック塀の撤去は、まち全体の安全にも関わるため、多くの自治体で費用の一部を補助する制度が設けられています。
お住まいの地域で利用できる制度を確認し、上手に活用しましょう。
補助金を受け取るための共通の条件と注意点
補助金を利用するには、いくつかの共通した条件や注意点があります。 特に重要なポイントを事前におさえておきましょう。
申請は必ず「工事の契約前」に
ほとんどの自治体で、補助金の申請は工事の契約や着工前に行う必要があります。
すでに工事を始めてしまうと補助の対象外となるため、撤去を決めたら、まず業者と自治体の両方に相談するのが鉄則です。
予算には限りがある
自治体の補助金はその年度の予算が決まっており、上限に達した時点で受付終了となります。
特に、台風や地震のニュースの後は申請が集中するため、早めに手続きを進めると確実です。
道路に面した危険なブロック塀が対象
補助金の多くは、不特定多数の人が通行する道路に面していることが条件です。
これは公共の安全確保が目的だからです。
隣地との境界にあるだけの塀などは、対象外となることが多いので注意しましょう。
申請手続きには時間がかかる
申請には、見積書や図面、写真など専門的な書類を数多く提出する必要があり、自分ですべて準備するのは大変です。
また、申請から交付決定までにも一定の期間を要するため、すぐに工事を始めたいと思っても、待たなければならない場合があります。
堀央創建では、こうした補助金申請の手続きに関するアドバイスも行っています。
【市町村別】愛知県の主要な補助金制度
お住まいの市町村によって、補助額の上限や計算方法が異なります。
ここでは、愛知県内の主要な自治体の制度をご紹介します。(※最新の情報は必ず公式サイトでご確認ください。)
小牧市
小牧市では、危険なブロック塀の撤去に対して最大20万円の補助金が交付されます。
補助金額は、「実際にかかった工事費の3分の2」と「撤去する塀の長さに1mあたり1万円を掛けた額の3分の2」、そして「上限額20万円」の3つを比べ、この中で最も低い金額が適用される仕組みです。
出典:小牧市の公式ウェブサイト
名古屋市
名古屋市の補助金は、お住まいの地域が「木造住宅密集地域」に指定されているかどうかで補助額が変わるのが特徴です。
木造住宅密集地域以外の一般的な地域では補助の上限額は10万円ですが、木造住宅密集地域内において避難路の確保など一定の条件を満たす場合は、補助の上限額が最大15万円まで増額されます。
ご自身の地域が対象となるか、また詳しい条件については、市の窓口や名古屋市の公式ウェブサイトでご確認ください。
江南市
江南市では、ブロック塀等の撤去にかかる費用について最大20万円の補助が受けられます。
補助金額は、「実際にかかった工事費」と「撤去する塀の長さに1mあたり1万円を掛けた額」のうち、いずれか低い方の金額の2分の1となります。
出典:江南市の公式ウェブサイト
一宮市
一宮市では、最大10万円を上限としてブロック塀等の撤去費用が補助されます。
補助金額は、「実際にかかった工事費」と「撤去する塀の長さに1mあたり1万円を掛けた額」のうち、いずれか低い方の金額の2分の1以内と定められています。
出典:一宮市の公式ウェブサイト
犬山市
犬山市の補助金は、最大20万円が上限です。
補助金額の計算方法は、「実際にかかった工事費」と「撤去する塀の長さに1mあたり1万円を掛けた額」のうち、いずれか低い方の金額の3分の2となっています。
出典:犬山市の公式ウェブサイト
春日井市
春日井市では、公道などに面する危険なブロック塀の撤去に対して、最大10万円の補助金が交付されます。
補助金額は、「実際にかかった工事費」と「撤去する塀の長さに1mあたり1万円を掛けた額」のうち、いずれか低い方の金額の2分の1となります。
最新の情報は春日井市の公式ウェブサイト
【比較一覧】各市の補助金制度まとめ
年度や条件により内容は変動します。詳細は各自治体にご確認ください。
どこに依頼する?業者選びは「ブロック塀診断士」がいるかどうか

業者を選ぶもっとも重要なポイントは、「『ブロック塀診断士』のような、専門資格を持つプロが在籍しているか」です。
資格は確かな知識と経験の証であり、診断から実際の工事まで一貫して専門的な視点でチェックしてくれるため、工事の安全性が格段に高まります。
また、一軒一軒の塀の状態に合わせて、本当に必要な工事だけを提案してくれるという安心感にもつながります。
注意:ご自身での撤去は絶対にやめましょう
費用を抑えるためにご自身で撤去しようと考える方もいるかもしれませんが、DIYでの解体は絶対にやめてください。
予期せぬ倒壊による人身事故や隣家への損害など、取り返しのつかない事態につながる危険性が非常に高いです。
ブロック塀撤去後はどうする?フェンスならではのメリット

危険なブロック塀を撤去した後は、多くの場合、より安全で機能的なフェンスを新たに設置します。
倒壊の不安が解消されるだけでなく、フェンスにはブロック塀にはないメリットがたくさんあります。
例えば、これまでお庭を暗くしていたブロック塀がなくなると、日当たりや風通しが良くなります。
また、デザイン性の高いアルミ製フェンスにすれば、住まいの外観がモダンですっきりした印象に変わります。
「外からの視線は気になるけれど、壁で囲ってしまうのは息苦しい…」という場合でも、目隠しと採光・通風を両立できるタイプのフェンスを選べば、プライバシーを守りながら開放的な空間をつくることが可能です。
塀・フェンスについて
「補修」で対応できるケースは?

もちろん、すべてのブロック塀を撤去しなければいけないわけではありません。
表面の小さなひび割れや塗装の劣化といった軽微なものであれば、補修で対応できる場合もあります。
ただし、見た目が軽症に見えても、内部の鉄筋が錆びていたり、基礎に問題があったりするケースが多いため、その判断は専門家でなければ難しいです。
補修で済むか、それとも撤去すべきか。
その最終判断は、必ず「ブロック塀診断士」による専門的な診断を受けてからにしましょう。
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自宅のブロック塀にひび割れや汚れを見つけて、
「すぐに撤去しないと危ないのかな……」
「できれば費用を抑えて補修で済ませたい」
と迷っていませんか?
実は、ブロック塀の劣化が見られても、必ずしも撤去が唯一の解決策ではありません。
まず大切なのは、内部の鉄筋や基礎まで正しく診断し、本当に危険
まとめ:不安なブロック塀は、まず専門家のブロック塀診断を
この記事で解説した通り、古いブロック塀は見た目以上に多くの危険があります。
具体的な対策は、まずご自宅の塀の状態を正確に把握することから始めましょう。
この記事のポイント
- 放置リスク:倒壊事故や高額な賠償責任のリスク
- 危険のサイン:「ひび割れ」「傾き」は専門家による診断が必要
- 補助金の活用:撤去費用は自治体の補助金で軽減可能
- 業者選び:「ブロック塀診断士」の在籍確認がカギ
- 撤去後はフェンスへ:安全性・日当たり・風通しが向上
私たち堀央創建は、小牧・江南・一宮市を中心に50年以上、地域に根ざした外構工事を手がけてきました。
一度ご依頼いただいたお客様の約半数が、のちに別の工事でもご相談くださることが、私たちの何よりの信頼の証です。
まずは専門資格を持つ「ブロック塀診断士」が、ご自宅の塀が本当に危険な状態なのか、客観的な視点で診断いたします。
診断だけでも、もちろん大歓迎です。
しつこい営業は一切ありませんので、どうぞお気軽にご相談ください。